




CROSS TALK
廣野には技術力と人間力、その両方を育む環境がある。
廣野の強みは、先端設備が充実していることや、長い歴史だけではありません。
人を大切にする企業文化の中で育まれた、人間性と挑戦心こそが成長の原動力です。その環境で経験と知見を磨いてきた次世代を担う工場長と営業部長。兄弟でもある二人が、ものづくりへの想い、新たな挑戦、そして未来の仲間へのメッセージを語り合いました。
取締役 工場長
廣野 幸一郎 HIRONO KOICHIRO
2010年、早稲田大学理工学部機械工学科卒。その後、大手家電メーカーに入社(空調設計開発担当)。2015年に、廣野鐵工所に入社。2023年に取締役 本社工場長に就任。
取締役 営業部長
廣野 晶 HIRONO AKIRA
2016年、早稲田大学商学部卒。その後、大手総合電機メーカーに入社(航空防衛事業の営業担当)。2020年に、廣野鐵工所入社。2025年に 取締役 営業部長に就任。
※取締役 工場長と取締役 営業部長は、2025年12月現在の役職です。
TOPIC
80年の歴史と、受け継がれてきた文化
創業者の志と、
守り継がれてきた
人を大切にする想い。
創業以来80年の歴史をどのように考えていますか
幸一郎
今ある姿は、常に挑戦を続けてきた結果だと思っています。創業者の廣野石奇は、大戦後の焼け野原の中で「これからはものづくりの時代だ」と会社を立ち上げました。当時の日本製品はすぐに壊れることも多くて、ドイツ製工具の頑丈さに衝撃を受けたと聞いています。本社社屋のエントランスに大きなスパナのオブジェがあるのは、その原点を忘れないため。創業者の覚悟と決意が込められています。ものづくりに対する強い思いを持ちながら試行錯誤を繰り返してきたからこそ、今がある。この80年の重みを忘れてはならないと思っています。
晶
80年という年月は、壁にぶつかり変化して乗り越えてきた、挑戦の歴史です。特にこの数年間は、コロナによる当社の上海工場の生産停止や、国際貿易における関税問題など、世界情勢が私たちのような中規模の企業にもダイレクトに影響を及ぼすことがわかりました。時代が変わって価値観が変化しても、90年、100年と当社の歴史をつないでいけるように、次世代へバトンを渡す責任を意識していきたいですね。
歴史の中で受け継がれてきた文化とは
幸一郎
父(現社長)の廣野幸誠は、日本を代表する実業家が提唱していた「利他の心」に深く共感しています。自分を犠牲にしても会社のステークホルダーである、「社員と家族」「お客様」「協力会社」「地域住民の方」「支援機関」のすべてが幸せになることが大切と考えているんです。私たちは、その精神を受け継ぎながらも変えるべきところは変える決断力が必要と思っています。特に今は進化のスピードが早いので、時代遅れな仕組みは思い切って一新し、価値観も進化させる。それが私たち世代の役割と思っています。
晶
私は父(現社長)から、「会社の利益は、社員が汗水垂らして働いた結果ということを忘れないように」と教えられました。だからこそ、社員を大切にし、見守っていたいんです。例えば、当社には社長室はありません。事務所スペースに、他の社員と同じように社長のデスクがあるというスタイルです。社長は日頃から社内を歩きながら、一人ひとりの顔を見渡して、「大丈夫か?」とか「元気そうやな」と声をかけています。仕事の効率化を進めることも大切ですが、こういった人と人のつながりを大切にする企業文化は守っていきたいですね。
TOPIC
廣野のものづくりは「感動」が起点
感動を届けるために、
技術と人を
磨いている。
廣野のものづくりの強みはどこにありますか
晶
FA(ファクトリーオートメーション)を利用した効率化だけでは他社との差別化はできません。私たちが、大手メーカー様から仕事を発注していただけるのは、数量が少ない多品種の製品に対応できる技術者がいるからなんです。今の時代であっても、難易度の高いご要望に応えるためには職人的な知識や技術が必要です。こういった強みは、受け継ぎ、育てていかなければならないと思っています。日本がここまで成長してきた理由って、やはりものづくりを頑張ってきたからだと思うんです。私たちも、業界を、地域を引っ張っていく企業でありたいと思っています。
幸一郎
我々の強みは330台もの多様な設備を使い、他社ができない複雑な形状の部品に対応できること、またそれを社内で一貫体制の基に製造できることです。それからアジアを中心にグローバル展開し、QCD(品質、コスト、納期)を実現できることも、ハードな部分での強みだと思います。
一方で、ソフトの部分では、お客様のご要望を実現するためにどうしたらよいかとじっくり考える文化や、それを皆んなで実現するチームワークがあります。つまり、最終的には人=社員なんです。設備はお金をかければ整えられますが、人の技術や仕事に向かう姿勢は時間をかけて育てるしかありません。そのことを忘れてはならないと思っています。
「感動部品のものづくり」という理念の共有は
晶
私たちが企業理念として掲げている「感動部品のものづくり」は、実は社員に浸透させるのがとても難しいんです。例えば農業機械などの部品をつくっても、実際にそれがどのように役立っているかは分かりにくいからです。ですから若手社員には、メーカー様からの感謝の言葉を伝えたり、農業機械の試乗会に参加するようにしてもらっています。そうやって自分の製品が役立っていると肌で感じることが、「感動部品のものづくり」の原点だと考えています。
幸一郎
現場では、品質を上げたいと言う気持ちが強すぎて、つい過剰品質になってしまうことがあります。でも、それは決してお客様が望んでいることではありません。重要なことは、品質以外のことも含めて「期待を超える仕事」を提供すること。例えば、梱包をキレイにして納品した方が喜んでいただけるかもしれない。そういったことを共有するために、全社改善報告会や評価制度の見直しなどで小さな成功体験を積み重ね、何がお客様の感動につながるかを模索してきました。「感動部品のものづくり」は、当社のテーマとして、これからも追い続けたいと考えています。
TOPIC
新規事業への想いと今後のビジョン
次なる一歩と、
300億円企業への
未来図。
金属を使ったインテリア事業について
幸一郎
きっかけは、私たちがこれまで培ってきた高い技術力を通じて、新しい事業領域に挑戦できないか、そして廣野鐵工所の認知度をさらに上げることはできないか、と考えたことでした。インテリアと聞くと畑違いのように感じられるかもしれませんが、金属を加工する手法は十分に活かすことができます。まずは2026年に展示会出展を実現させ、そこから始めていこうと思います。自分たちの技術はどのように社会に役立てることができるか、その可能性はまだまだ広がっている。そう考えると将来が楽しみですね。
晶
今回の事業は、新しい挑戦というよりは、これまでの延長線上にある取り組みです。当社が、技術力もセンスも備えているということを知ってほしい。また、できれば技術の紹介というところを超えて、我々の技術が、ライフスタイルを豊かにする可能性も持っていることに気づいて欲しいんです。
将来的には廣野ブランドとして自社店舗を立ち上げたり、Eコマースで販売することも検討したいですね。社員の誇りにつながるし、インナーブランディングの向上にもなると思っています。
次期経営者となられるお二人の今後のビジョンは
晶
まず、早期に廣野鐵工所単独で100億円、グループ企業で200億円の売上達成を目指しています。そして、私たち兄弟が経営層になったときには、グループ全体で300億円企業になることを目標にしています。これは、工場長と常々語り合っている構想です。でも、ただ大きくしたい訳ではありません。現在のように社員を大切にするという企業文化は守りながら成長させることに意味があると思っています。
幸一郎
営業部長の言ったように、規模を拡大するからといって社員に目が届かなくなることは避けなければなりません。ですから人数の拡大は1.5倍に抑えながら、生産性を向上させることで売上を2倍の300億円を目指したい。そのためには、当社製品の品質や効率性を上げるために、制度改革や人材教育の整備など、やるべきことはたくさんあります。 これは余談なんですが‥この売上目標の話を初めて営業部長にしたのは、数年前に私たち兄弟だけで海外旅行に行った時なんです。そこで、会社の将来について水いらずで話した時に伝えました。その時から、一つの指標になっています。
TOPIC
若手社員に期待すること、就活生へのメッセージ
自ら問い、挑み、
現状を変えていける人と
働きたい。
若手社員にはどのような役割を期待していますか
晶
「あの人のようになりたい」と後輩に思われる人になってほしいですね。普段の行動や学びも、そこを基準に考えてほしい。当社では先輩後輩が社員食堂で一緒にランチを食べたり、会社主催のイベントに参加したりしてコミュニケーションを深めている姿をよく目にします。皆んなが自然と社内の交流を活発にしたいと思っているんです。
今の若い社員を見ていて思うのは、自らをもっと磨きたいという成長意欲が高いということです。だからこそ、会社の教育体系の構築などで、それを引き上げる仕組みをつくりたいし、技術や知識が向上したことをもっと給与に反映できるようにしたいですね。
幸一郎
私が若手社員に求めるのは、今やっていることを疑う姿勢を持つ、ということです。そのためには、自分が担当している仕事はなぜ必要なのかを常に考えること。それで、これは意味がない、効率が悪いと思ったら自分から率先して変え、新しい仕組みをつくってほしい。そんなリーダーシップや気概に期待しますね。
今の時代におけるものづくりは、与えられた仕事をこなすだけでなくて、自ら問いを立て、挑戦し、変革していくことが求められています。そんな姿勢が、それぞれの社員を成長させると同時に、会社を進化させるものと信じています。
最後に、就活生にメッセージを
晶
当社は80周年を迎えましたが、100年、200年の歴史がある企業と比べればまだまだ若いですし、規模も売上も成長余地があります。そして、そんな中規模の製造業だからこそできることもあると思っています。その一つが、社員同士の仲が良くて家族のような関係で働けるということ。楽しいことも辛いことも一緒に分かち合いながら、共に廣野鐵工所の未来を創っていきませんか。
幸一郎
これからは不確実性の時代と言われています。そんな時代に当社は売り上げに関しても事業の方向性に関しても明確なビジョンを持っている。だから若い社員の方にも、しっかりとした志を持って技術力と人間力を磨いてほしいし、廣野はそれに応えることができる企業だと思っています。
そして、当社の理念である社員、お客様、地域など会社に関わる全ての人の幸せを実現するという想いに共感していただけたなら、共に次の10年を創っていきましょう。あなたの挑戦を待っています。